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水波霊魂学が案内する霊魂研究への旅

霊についての各論各説を比較検討する「霊魂研究」のブログ

テーマ1「死後の世界」 (4)スピリチュアリズムの見解

1.死後の世界

<ざっくり言うと>
スピリチュアリズムの死後世界観は時代により随分と違う
地上の宗教や思想を反映している分、霊的世界の姿を歪めている恐れ
◆愛の実践の重視、霊的身体の説明不足、本当に霊的成長ができるか疑問

スピリチュアリズムの中でも死後世界観はかなり異なっている

 スピリチュアリズムの死後世界観は、初期の頃と中、後期とでは、また、スピリチュアリズム諸潮流によっても、見解がかなり異なっているようです。
 最初のスピリチュアリストと言われるスウェーデンボルグの場合は、死後、「霊界」に入るが、まず、中間の世界である「霊たちの世界」に入り、その後、善人は「天界」へ、悪人は「地獄」へ行くとあるように、煉獄を連想させる「中間的世界」や「天界」や「地獄」など、それぞれの定義は異なるものの、キリスト教の影響を色濃く反映しています。 よって、スピリチュアリズムの内部で長い間論争の的となる輪廻転生、つまり、「生まれ変わり」というものも否定しています。 なお、スウェーデンボルグによると、「霊界」は、無数の階層に分かれているとしており、大別すると、「霊たちの世界」も「天界」も「地獄」もそれぞれ三つの段階に分かれているとしています。
 ともかく、この「霊界」いう霊的な世界がリアルな形で存在するという考えは、スピリチュアリズムの中で継承されていきます。
 後に、カミンズという霊媒を通して通信を送ったマイヤーズを名乗る霊魂のように、神智学等に類似した、「霊界」は七つの階層に分かれているという説が登場しますが、最も後期に属するシルバー・バーチに至ると、「霊界」は一つだけであり、その中に霊的進化の程度に応じた無数の界層があるのみであると主張しています。

 

スピリチュアリズム系死後世界観の要約

 スウェーデンボルグから始まり、シルバー・バーチに至るスピリチュアリズムで継承されている死後の世界観は要約すると次のようになります。

■人間は“死”によって肉体を脱ぎ去り、「霊体」だけになって死後の世界(「霊界」)で新たな生活を始めるようになる。

■死の直後に入る霊的世界を「幽界」と言う。死の直後に入る霊的世界は、本格的な死後の世界である「霊界」と地上界との中間領域・境界的世界であり、「霊界」の最下層を指す。

■他界者はここで、生前の反省をしたり休息を取ったりすることになる。休息にともなって、大半の人間は死の自覚を持つようになる。

■「幽界」の環境が地上とそっくりなのは、そこの住人の思念が環境をつくり出した結果である。
「幽界」は、本格的な死後の世界である「霊界」に入るための準備の場所である。
「幽界」での生活を通して地上臭を拭い去ると、自動的に霊界に入っていくようになる。

■特殊なケースとして、地上時代から霊性が高く、霊的世界のことを正しく理解していた人間の場合には、「幽界」を素通りして初めから霊界に入ることもある。

■「霊界」には幾つもの界層が存在する。
本格的な霊的世界である「霊界」には、霊格の違いから無数とも言える界層が形成されている。

■他界者は自分の霊格に相応しい界層に赴き、そこで霊的親和性によって結ばれた霊たちと共同生活を送るようになる。高い界層には霊性レベルの高い霊たちが住み、低い界層には霊性レベルの低い霊たちが住むようになる。高い階層ほど素晴らしい環境となり、天国・楽園のような様相となる。

■ 「霊界」にも仕事はあるが、それはすべて利他愛の実践・他者への奉仕活動として行われている。霊界での仕事は純粋な利他愛の精神によるものであり、霊たちはその利他的行為を通じて霊的成長を達成していくことになる。

■以上のほかにシルバー・バーチは、さらに次のような見解を付加しています。 「霊界」がメインの世界で、地上界は仮の世界である。 「霊界」のすべての出来事は、「霊的成長」という一点に集約される。 霊的世界は、階層はあるものの、一つである。

■また、霊的な身体も階層によって連続的に変化はするが一つであって「霊体(幽体)」という。 霊格が等しい霊たちは融合して大きな意識体(「類魂」(グループ・ソウル))となる。

 以上がスピリチュアリズムにおける死後の世界ということになりますが、水波霊魂学の見地から見ると、多くの疑問点、問題点があります。 細部にまで触れると多岐にわたりますので、基本的な問題についていくつか述べると、次のようになります。

スピリチュアリズムの死後世界観の問題点

問題点1.キリスト教思想と近代科学思想の影響

 シルバー・バーチは、スウェーデンボルグの説について、キリスト教思想の影響が残っていると批判しています。それは的を射ているとして、スピリチュアリストが、そして、シルバー・バーチが、霊界での仕事、生きる目的は、霊たちが利他愛の実践を通じて霊的成長、進歩を達成していくことにあるというとき、そこには隣人愛といったキリスト教的な倫理観が、そして、近代科学思想である進化論が反映されてはいないでしょうか。
 そして、それは地上(物質界)の宗教や思想を反映している分、霊的世界の真実の姿を歪めているのではないでしょうか? 水波霊魂学では、死後の世界は、地上の倫理や道徳、哲学や思想とは無関係であり、地上とはまったく異なる固有の法則が支配しているとしています。

問題点2.自由意思を尊重するなら霊的成長至上主義は少しおかしい

 水波霊魂学では、死後の世界には、下層の世界を除くと、倫理や道徳や法を含め、いかなる束縛もなく、個々の自由意思が最大限尊重されるのであり、人はどのように生きようが全く自由であるとされています。 よって、霊的な進歩、向上は、本当は大変望ましいことですが、だからといって他者が、たとえ、それが高貴な存在であっても、押し付けることができず、人がそれぞれに望む自由な生き方をすればいいということになります。 シルバー・バーチは、神が創造された霊界は「霊的成長至上主義」という摂理によって支配されていると主張していますが、人は、逆に、退歩、転落する自由をも持っているのです。よって、自由意思の行使によって「幽質界」の下層へ落ちて苦しむ自由もあるのであり、現に、多くの霊魂たちが苦しんでいるのです。 とはいっても、死後の世界において、自己の霊的な成長に邁進することは最も価値のあることであり、他の霊魂の霊的な進歩を促すために指導をしたり、より高貴な霊魂に仕えたりすることは望ましいことには違いありません。 高貴な存在は、人の魂としての進歩、向上を切に望んでおられるのですが、それを選択する自由は個々の霊魂にあるということです。 よって、霊的成長、進歩は、まったく強制されないものの、幽質界の上層以上の階層においては、すべての霊魂が自主的に目指す目的であるようです。

問題点3.愛の実践で霊的成長ができるのかどうか

 さて、次に、スピリチュアリズムにおいては、地上時代のみならず、死後の世界においても、霊的成長のための利他的な愛の実践というものが非常に強調されていますが、そこには、いかなる霊的トレーニングの方法も示されていません。よって、利他行の実践という主観的で漠然とした方法で本当に霊的な成長が成し遂げられるのかという疑問が浮上します。 まず、スピリチュアリズムでは、霊格や霊性の高さをいい、それによって死後行く階層が決まるということですが、霊魂学では、そうではなく、所持している「幽体」(死後使用する霊的身体)がなじみやすい階層へ行くとしています。つまり、死後行く階層は、意識レベルではなく、「幽体」の成長度と健康度によって決まるとしています。 ですから、水波霊魂学においては、心のみの変化では霊的な進歩、向上は到底成し遂げられないとしているばかりではなく、「幽体」という霊的身体の成長と強化、健全化に着目しているのです。 ただし、「幽体」の意識面の成長、進歩を決して軽視しているわけではありません。 だからこそ、人という霊的存在は複雑であり、肉体のほかに「幽体」とその意識を所持し、さらに、より高貴な「霊体」(スピリチュアリズムでいう「霊体」とは異なる)という身体と意識を所持しており、それらを包括的に成長させるために、それにふさわしい霊的トレーニングを行わなければならないと主張しているのです。そのために、神伝の法、すなわち、神伝禊法、神伝鎮魂法が宣布されているのです。

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問題点4.霊的身体についての説明が足りない

 さらに、もう一つだけ言いますと、死後の世界、つまり、「霊界」は一つであり、霊的身体も一つということについても疑問があります。 水波霊魂学でも、確かに、「幽質界」(スピリチュアリズムにおける「霊界」を指す)は一つであり、多くの階層に分かれているとしていますが、死後の世界はそれだけではないとしています。単なる階層の違いではない質的に異なるより高貴な世界があるのです。それを「霊質界」といい、さらにその上にもう一つ質の異なる高貴な世界があるとしています。 同様に、身体についても、「幽体」、「霊体」(スピチュアリズムでいう「幽体」、「霊体」とは異なる)といった、それぞれの世界に適応できる質の異なる身体を所持しているということです。 よって、死後の世界は「霊界」しかないという見解は、「霊質界」以上におられる真に高貴な存在や神々との接点がない水準での主張になると思われます。


おわりに


 以上長文になりましたが、スピリチュアリズムの死後の世界観を概括し、検討してみました。スピリチュアリズムの考え方は伝統宗教の硬化した世界観に一石を投じたものとなったようですが、残念なことに地上的な宗教や近代科学思想や一般的な心情にかなり歩み寄った内容になっており、現在ふりかえると、霊的世界の説明としては少しおかしな説明になっている箇所がいくつかあるように思われました。

最後までお読み下さりありがとうございます。
みなさまの参考になれば幸いです。